以前、体験レッスンにいらした方から
「今日の内容は学習済です。もう少し上のクラスを紹介してください」と言われました。
この「学習済」という言葉が気になりました。
その方のおっしゃる「学習済」とはつまり、「その子が別の教室で使用しているテキストでは触れた」という意味です。
「学習済」=「習得済」ということにはならない、と私は考えます。
体験してくれたその子を見ていて「習得済」というふうには感じられませんでしたし、まだ「学習」をしたという段階にも感じられなかったので上のクラスをお勧めしませんでした。
「学習」と「習得」の違いは?
「学習」とは 学び習うこと
「習得」とは 習って身につけること
「学習」と比べ、「習得」は簡単なものではなく時間を要します。
が、「習得」した力はその後ゆるぎない、しっかりとした土台となります。
時間はかかっても、確実な力を身に着けて進んでいってほしいと常々考えています。
「学習」→「習得」を感じたレッスン
最近、STEP3クラスとSTEP5クラスで、同じ内容のAvitityを行いました。
同じ内容を行ったことで、
学習段階の異なる2つのクラスの子供たちが、学習期間を経てしっかりと「習得」につながっていることを実感できました。
学んだフレーズはいろいろな場面で繰り返し使用しますが、そのフレーズばかりをずっと練習しているわけではありません。
一度学習したのち、フレーズを使用する場面を変え、アレンジも加えながら何度も触れて発することで、「習得」につながったことが分かります。
STEP3 Activity① まずはつかってみよう!
STEP1.2クラスは英語に楽しく触れるウォーミングアップクラス。
次に進むSTEP3クラスの学習は英語と本格的に向き合う内容です。
さて、このテキストで一番難しいと感じるのがこのページ。↓
本文を読むことが難しいのではないです。
「単数・複数を意識し、is/are, it / they を使う」ことが難しいんです。
このページの学習にあたり、行うActivityがこちら。
<Activity内容>
①1-10のカードの中から1枚のカードを代表の子が選ぶ
②ほかの子は代表の子に質問することで、どのカードを持っているかをあてる
シンプルなものですが、質問と返答が難しい!
Q: What color is his ~?
A: It’s~.
Q: What color are his ~?
A: They are~.
「時間をかけてフレーズ完璧に言えるようになってから」であればできるかとは思いますが、このActivityはテキスト本文に入る前に行う活動ですので、フレーズを言えるための練習時間はとりませんし、もしそんなことに時間をかけたら子供たちはきっとやる気を失います。
この活動はあくまで、テキスト本文に入る前の導入としての活動。
テキストの音読を宿題として迎える翌週に、またフレーズ定着のためのActivityを行います。
STEP3 Activity② 音読練習後の復習
新しいページを学習したら、翌週までの課題として「音読」があります。
本当に感心しますが、子どもたちはしっかり練習してきてくれます。その練習があるから、翌週の復習の活動が充実したものになります。
<Activity内容>
①誰かとペアになる。
②相手の希望を聞きながら色を塗る。
質問応答は前回と同じもの
Q: What color is(are)his~?
A: It’s~/They are~.
テキスト音読練習後なので、だいぶスムーズではありますが、やはり、is/areの違いを意識して質問することは容易ではありません。
ほとんどの子が全て”is”を使う傾向あります。
一度で定着するものではない
さて、この2つの活動において、
*単数・複数を絶対定着させたい
*is areの違いをここで覚えさせたい
と、このテキストを使用し始めたころ意地になっていた自分がいます‥‥。
子どもたちが英語を使って楽しく活動している中、is areなどの訂正を入れてきちんと言えるように誘導していました。
しかし、
どんなにそのとき徹底的にやって,その場で言えたとしても…その後持続はしないもの、ということを私は学びました。
そして、時を経てもうひとつ学んだことがあります。
その場その場を完璧にしなくても、時間を経て必要な英語力はつく、ということです。
これは決して「とりあえず、やることだけやっていればどうにかなる」という意味ではないです。
完璧さにこだわりすぎる必要はない、ということです。
教室でのレッスンと、自宅での取り組みの中で、
・Activity等、そのとき持てる力で取り組むこと(分からなくてもやってみる)
・テキストの音読をしっかり行うこと(復習)
・普段のレッスンでなるべく既習フレーズに触れること(定着)
など、いろいろな角度から英語に触れることによって、自然と基礎が積み重ねられしっかりとした土台となります。
STEP5 同じActivityをやってみると…??
上述のSTEP3のAvitityの2年後に、STEP5で、ほぼ同じ内容のActivityを行う機会があります。
そのActivityがこちら↓
<Avtivity内容>
①1-10の中から代表者が1枚選ぶ
②他の子は代表者に質問して、どのカードがあてる
必要なフレーズは、先ほどと全く同じです。
Q: What color is(are)his~?
A: It’s~/They are~.
STEP3と異なる点は、STEP5ではこの活動を行うにあたって全く説明しません。
ワークシートを配ったら私がまずは代表者として1枚選び、”Which is my card?”とだけ質問すると、その後は自分たちで進めていけます。
答えにたどりつくためのフレーズは自分たちで考えられます。
このActivityをするにあたっては、のときSTEP3のようにテキストで見本となるフレーズの学習をしているわけではないので、自分の知識や記憶を使ってフレーズは考えることとなります。
is areなどは曖昧さがありますが、必要に応じて私がサラッとつぶやけばピンときて、自分で考えながらフレーズを言えます。
確かな力の「習得」に近道なし
繰り返しになりますが、
*1度やったからと言って定着するものではありません(2年前に習ったでしょ?ということにはなりません)
*決まったフレーズだけを繰り返し練習すれば暗記はできますが、応用は難しいです。(暗記は、単純に”暗記”です)
このフレーズを覚えれば完璧!というものではなく、
いろいろな英語(単語、フレーズ、文法知識などあらゆる角度から)に触れる中で、理屈ではなく感覚で英語をとらえられるようになります。
レベルの異なる2つのクラスで同じ内容の活動をしたことによって、2年の学習を経た子供たちがしっかりと力を身に着けていることを実感することができました。
STEP3の子たちが、今回同様に2年後成長した姿を見せてくれることも楽しみですし、
STEP5の子が、これまで培った力を今後さらにパワーアップさせるだろうと具体的にイメージできたこともとても嬉しいです。