英検3級 “曖昧合格” の悲劇

昨年、Sunny以外の生徒さんと英検講座を進める中で感じた「違和感」

「この子は、本当に前の級に合格しているのか?」

そして、これが1人だけのことではなくSunny生以外の生徒さんに感じた共通のものでした。
ということは‥‥
多分、同じような子はけっこう一般的に多いのではないか、と懸念しています。

多少偏りのある考えかとは思いますが、ずっとモヤモヤとしているこの気持ちを一度ブログに書きたいと思います

1.〇歳で、英検〇級!ってそんなにすごいこと?

Sunnyの子たちがよく
「(小学校の)クラスにね、〇級(2級や準1級など)持ってる子がいるの!すごいよね!」
という話をしてきます。

子どもたちにとっては、分かりやすく「英語の力」をアピールできるものであり、輝いて見えるものなのだと思います。
しかし、〇級を持っていると一言に言っても、いろいろな背景がありますよね、きっと。

・帰国子女である
・英検特訓を受けている
・英語が好きで本当に力がある
など。

低年齢の英検合格は魅力的に感じるのは分かります。
しかし、私はこれまでの経験を通じて”実力の伴わない英検合格も多いのではないか?”という疑問をいだいています。

以下、私が感じた違和感をいくつか紹介します。みなさん、Sunny外部生さんで、学習歴は様々です。

1-a 違和感1:今までどうやって受かったんだろう…

3級までは受かっていた小学高学年Aさん。
準2級の1次試験に数回チャレンジしたものの合格できず‥‥どうにか受かりたい!という状況。

Aさんは
・インターの幼稚園に通っていたので、リスニングは得意
・筆記問題で点数が取れない
・英作文が書けない

とのこと。

実際に問題を解いてもらった結果、1番気になったのは「英作文」でした。

本当に辛口なことを言ってしまい申し訳ないのですが、1度英作文を見させていただき率直に‥‥
「3級の英作文は本当に書けたのだろうか?」
という疑問が浮かびました。
文の構造が理解しきれておらず、語順並び替えもできるかな‥‥とちょっと頭をよぎりました。(語順並び替えは5.4級)

それなら3級だって受からないのでは?
とご指摘受けそうですが、3級の英作文は、シンプルな型に当てはめれば合格できます。そんなことを書いてしまうと、「じゃあ、だれだって受かる!」と言われそうです。
そして、はい。確かにそうです。

が、シンプルな型を理解して自分の力にすることができたかどうか、も大事なポイントです。
「受かるためにこれを書く」のではなく、「文を書くルールを自分のものにするために覚える」ならば有益だと私は考えます。

さて、
合格パターンに頼って3級を切り抜けてしまうと・・・・
残念ながら本当に準2級の英作文は「書けない」んです。

意味を理解できていない
「パターン合格」

私がとても避けたい合格です。

が、Aさんは「どうしても受かりたい」という希望でしたので、準2級もパターン攻めで英作文を完成に近づけ、1次試験は合格しました。

しかし、続いては2次試験。

これも1次試験同様の問題に直面しました。

文が構築できないということは、当然2次試験の会話も相当厳しいということです。
英作文であればまだ考える時間的余裕がありますが、会話についてはその余裕はなく、ほぼ即答です。

2次試験は1度不合格。そして、猛特訓を経て次の2次試験に合格しました。

1次試験から合格後まで通して保護者の方にお話ししたことは「基本から学習することの大切さ」でした。英検合格を目指す前に、基礎からしっかり力を身に着けることをお勧めしました。
合格したら次の級、ではなく、次の級に見合う力をつけてこそのチャレンジであるべきです。
本当に力が備わっていない限り、必ずどこかで頭打ちになります。
着実に力をつけて自分の力を伸ばしていく、そんな学習を積み重ねてほしいと思います。

英検3級と準2級の間には‥‥力が備わっていなければ越えられない壁を感じます。

1-b 違和感2:土台構築なしに先を進もうとする危険…

小学校高学年Bさん。
・幼稚園はインターに通っていた
・準2級希望
・ある程度問題は解けるが、英作文が苦手


元々インターの幼稚園に通っていたことがあって、リスニング力が高く、発音もきれい。しかし、それがイコール英語力ではないところが悩ましい点です。

英検合格を目指したいというその子にとって必要な力を分析すると、確実に不足しているのは「基礎」だと感じていました。
耳がいいこと、発音が上手なことはもちろん財産です。
が、それを培ったのは幼児期。それ以降に伸ばしたい部分が伸びていないまま年齢を重ね、これまで英検になんとか合格してきて‥‥壁にぶつかる。それが”準2級”です。

Aさん同様、準2級を受ける力が備わっているかどうか
「(受験を目指す段階で)英作文をどれくらい書けるかどうか」
を見れば確実に分かります。

目指す段階で否定するなんて‥‥
「英検に受からせるための英検講座ではないの?」
と、もしかしたら(いや、当然?)思われるかもしれません。
が、それに向かうべき基礎力なしに、「どうにかして合格させてほしい」というのは無理がありすぎる上に、それで受かったとしてもさほどの力はつかない、残らないと私は考えます。

”英検合格にさほどの意味はない”と日ごろ言っている私ではありますが、ある程度の級(3級以降でしょうか)に、しかるべき年齢でクリアできないとしたら、それはつまり一定の力を習得できていないことだとも言えます。

上を上を目指すことで、本当に身に着けるべき大事な要素を習得できずにどんどん進んでいたら‥‥。確実な基礎力なしに上に積み上げることはできないものです。

1-c 違和感3:本当に受けたいのかな‥‥?

英検3級まで自分の力で取り組んできたCさん。
次は初めての準2級。自分の力では難しいかも、とSunnyの講座に参加。

上述のAさんBさん同様、”英作文が書けない”が大きな課題だとまず感じました。
同様に厳しい発言になってしまいますが、「3級にどうやって受かったのか?」が気になりました。

講座では、「準2級で書くべき作文構成」を伝えましたが、まずその構成以前に「理由と根拠・補足」に当たる意見を出すことができていませんでした。つまりは日本語の部分であり、自分の持つ意見を言葉にする力があるかどうかという話です。

3級でも、質問に対する自分の考えを2つ書く必要はあるのですが、それはなんとかパターンで切り抜けたのかな?と思いつつ、その2つの理由をきちんと正しい文法で英文にできたかどうか、にも疑問が出てしまう英作文力でした。

Sunnyの子たちにとっても、「自分の意見を出して形にする」ということは難しいことです。
出発点は同じなんです。

Sunnyの子たちと決定的に違う点は、(このCさんに限らずですが)

「取り組む姿勢」だと思います。

Sunnyの子たちは課題を放棄することはありません。「やらなければならない」「やる」という意識が常にあります。

私が普段「宿題やった???」というタイプではない、その中で育っている子たちです。
課題をやるのは自分のため
やるやらないの判断は自分に委ねられている
そういう状況に身を置いていることも影響していると思います。

英検講座中に課題は出しますが、やらなかったとしても私は深追いしません。しかし(遅れたとしても)必ず提出があります。

と、ここまで書くと察するかと思いますが、

Sunny外部生さんにとっては「課題、提出しなくても怒られないんだ」となりうる‥‥それがSunny生との確実に異なる点だと言えます。(その点で言えば、外部生さんの英検講座参加はおすすめできないものだとも言えますね。)

とはいえ、私もCさんには何度も提出を要求したものの、やはり最後まで提出らしい提出はなく‥‥そのまま本試験という流れでした。結果は…お察しの通りかと思います。

英検講座は普段のレッスンとは全く別物。自分の力で課題をクリアしていく。合格を目指す1人1人の努力が全てです。

英検は受けるべきなのか?という疑問

さて、ここまで読まれている方からすると
「Sunnyの生徒さんは絶対的な力を身に着けて合格!」が当たり前ってこと?
と捉えられると、必ずしもそうではないので誤解がないように補足事項を書きます。

英検合格の理想は
「級に見合う力があったから合格した!」です。

しかし、全ての人がそうであるわけでありません。

では、
「なんとか合格できた!」であればどうすべきか?
ここが大切です。
今はまだギリギリ合格だけど、次の級を目指すうえでもっと力をつけよう!というその意識こそが大切です。

Sunnyの子たちに関して言えば、私が全員の点数や取り組み状況を把握しているので、次の受験までに高めたい力を高められるように、日々のレッスンや課題の中で力を伸ばすように意識して課題を出しています。ですので、1年後(Sunnyは年に一度の受験)には、確実に次に向かう力がついていると私が自信を持って受験日を迎えられるよう意識しています。


「ギリギリだけど、合格は合格。また次の級もギリギリ合格できたらラッキー。」なんてもし考えていたとしたら確実にその先の合格にはたどりつけません。

次の級を受けるだけの力を備えきれていない中でその級を目指すことは、「過酷」です。
級が上がれば上がるほど、です。

「英検」という言葉になにかステキな意味がありそうな気がするかもしれませんが、「検定試験」それだけです。
力の伴わない検定試験へのチャレンジは、受験者本人にとってストレスでしかないと私は思っています。

なにか確実なメリットがあって、無理やりでも受かればいいと思うのであれば、それも有りです。
それに向けて合格を目指すような学習をすることに否定もありません。目標として取り組むのであればきっと力も身につくはずです。

受かるって楽しいな♪というくらいで取り組めるうちは良いのですが、「受からない」「難しい」「やりたくない」‥‥というような気持ちがあったとしたら、一度、検定試験を受ける意味をじっくり考え、必要がある人は受けるべきですし、不必要に苦しい時間を過ごすのであれば受ける必要はないと本心で思います。

受験するのは「あなた自信」。もし「誰かに言われて」「なんとなく」「仕方なく」というような気持ちがどこかにあるならば、それは時間がもったいない。自分のためにがんばりたい!そうであればSunnyは全力で応援します。

”曖昧合格”にならないために

今回のブログでは、Sunny以外の生徒さんについて書きました。
Sunnyでは外部の方の講座参加をたくさん受け入れているわけではありません。がその数名の英検受験までの取り組みが共通して予想以上に困難であったのは事実です。

曖昧合格は、いつか必ず頭打ちになるときが来る
これはまちがいないと言えます。

そうならないために、何をすべきか?
と言えば、
当たり前すぎることですが、
*それぞれの級に確実な力を持って臨むこと
*次の級に向けて必要な力をつけていくこと

です。

そして、これは、子ども自身ではなかなか気づきにくいことであり、かつ、親にはもっと分かりにくい部分かもしれません。
お子さんが「〇級に受かったから次はその次をがんばろう!」ではなく、スコア表をしっかり見て、足りていないかもしれない力があれば、無理に次を目指すことをしないその判断がとても大切だと思います。

繰り返しになりますが、

力が足りていないのに次の級を目指すことは「苦痛」であり、英語そのものに対する意欲を削ぐ可能性もありえます。

どんなに先を急いだとしても、最終的に1級までしかありませんし、それは大人でも難しいものです。

そうであれば、
・高校生で2級。英語が得意であれば準1級。
・中学生中に準2級が取得できたらいいかも。
・そうすると、中学1年生で3級でもよいかな
・だったら小学生中に4級まで。

そんなふうに逆算してゆっくり取り組んでも全く問題ない、と私は考えます。

早く受かることが全てではないんです。

・5年生で3級受かったら、もうそれ以上やりたくなくなって、以降英語はやらなくなったという子もいます。
・小学生で準2級取ったけど、中学では英語のテスト全く取れない、英語が嫌いになったという子もいます。

適した年齢で、適した学習知識を持って適した級に受かれば十分だと私は考えます。
好きであれば、本人がやりたいタイミングで学びを深めていくはずです。


「先を急がない」
それが、曖昧合格にならない秘訣である、と私は考えます。

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